燃料電池発電設備の設置
燃料電池発電設備を設置するには、事業用電気工作物の設置に関する手続きが必要です。
燃料電池発電設備は電気事業法だけでなく、条件によって、大気汚染防止法、消防法、高圧ガス保安法等の規制も受けるものがあります。
1.工事計画の事前届出
500kW以上の燃料電池発電設備を設置する工事には事前の届出が必要です。
工事計画事前届出をしてから30日のうちに所轄の産業保安監督部より変更の指摘がなければ、工事に着工することができます。
すなわち、工事計画事前届出をしてから30日は工事の着工ができません。
2.保安規程の作成と届出
保安規程は自家用電気工作物の工事、維持および運用に関する保安を確保するために設置者が定めるルールで、設置者およびその従業者は保安規程を守らなければなりません。
(1)保安規程の項目
保安規程には、主に次の項目について具体的に定める必要があります。
● 電気工作物の工事、維持または運用に関する業務を管理する職務および組織に関すること。
● 電気工作物の工事、維持または運用に従事する者に対する保安教育に関すること。
● 電気工作物の工事、維持または運用に関する保安のための巡視・点検および検査に関すること。
● 電気工作物の運転または操作に関すること。
● 発電所の運転を相当期間停止する場合における保全の方法に関すること。
● 災害その他非常の場合にとるべき措置に関すること。
● 電気工作物の工事、維持および運用に関する保安についての記録に関すること。
● 事業用電気工作物の法定事業者検査に係る実施体制及び記録の保存に関すること。
● その他、電気工作物の工事、維持および運用に関する保安に関し必要な事項。
(2)保安規程の届出
設置者は、作成した保安規程を国(産業法案監督部または商務流通保安グループ)に届け出る必要があります。
また、届け出た保安規程に変更があった場合も国(産業法案監督部または商務流通保安グループ)に届け出る必要があります。
3.電気主任技術者の選任と届出
電気主任技術者は、自家用電気工作物の工事、維持および運用に関する保安の監督をさせるために、自家用電気工作物の設置者が選任する有資格者です。
自家用電気工作物の工事、維持および運用に従事する者は電気主任技術者がその保安のためにする指示に従わなければなりません。
自家用電気工作物の設置者は、設備または事業場ごとに電気主任技術者を(1)~(3)のいずれかの方法により選任するか、(4)の方法により保安管理業務外部委託の承認を得る必要があります。
(1) 有資格者選任
電気主任技術者免状の交付を受けている人を電気主任技術者として選任すること。
(2) 有資格者以外の選任
電気主任技術者免状の交付は受けていないが、電気設備に関し一定の知識・技能を有する人を電気主任技術者として選任すること。
(電気工事士免状をもっている人、工業高校の電気科で規定の科目を修めて卒業した人など)
(3) 兼任
設置者が既にある自家用電気工作物の事業場の電気主任技術者として選任している者を、別の自家用電気工作物の電気主任技術者として兼任させること。
(4) 保安管理業務外部委託
電気管理技術者(電気設備の保安業務を専門に行っている個人事業者)または電気保安法人(電気設備の保安業務を行っている法人)に保安業務を委託すること。
改質器の最高使用圧力が98kPa以上の燃料電池設備の場合はボイラー・タービン主任技術者の選任が必要です。
4.大気汚染防止法に関する手続き
燃料電池の改質器はばい煙発生設備の対象になっています。
排気量が重油換算50L/h以上のものが規制対象となっており、工事計画と合わせて届出手続きが必要になります。
排出基準は地方自治体によって設定されています。
5.消防法に関する手続き
火気を取り扱う設備として、燃料電池発電設備の設置の届出が必要です。
設置の基準や届出手続きについては、火災予防条例で定められています。
6.高圧ガス保安法に関する手続き
燃料として使用するLPガス、天然ガス等の貯蔵量が300㎥以上になる場合は、高圧ガス貯蔵所の設置の届出が必要になります。
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